Stellar Lab Radio 第2回 ゲスト:馬渕 洋さん

体の中に存在する「間葉系幹細胞」。その力を解き明かす研究は、傷の治癒にとどまらず、培養肉の開発や宇宙での細胞培養など、思いがけない未来の可能性へと広がっています。今回のStellar Lab Radioでは、その最前線に取り組む藤田医科大学准教授・馬渕 洋さんをお迎えしました。
Stellar Lab Radioは、「まだ誰も知らない、世界を変える研究」に光を当てるトーク番組。世界レベルで活躍するトップ研究者たちが、最先端の研究やブレイクスルーの裏側、そして未来へのビジョンを語ります。
前編では、幹細胞研究の基礎から、細胞が持つ驚きのストレス耐性、そしてオルガノイド技術を活用した“培養肉”の可能性まで。研究と社会課題がどのようにつながっていくのか、その広がりを余すところなく語っていただきました。
後編となる今回は、「治療法に新しい選択肢を」というテーマを中心に、細胞治療がもたらす未来の医療の姿、そして研究者としての原点や人生観に迫ります。ワニ革バッグから始まった意外な研究キャリアのきっかけ、研究者に求められる新しい役割、さらにはストレスに負けない研究生活の秘訣まで──。研究と人生が交差する、濃密なトークをお届けします。
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治療法に、新しい選択肢を
Sean: もう1つ、ぜひ馬渕先生に聞きたいなというふうに思っていたところがあったんですけどね。今、先生が取り組んでいる間葉系幹細胞とか、オルガノイドの研究は、例えば、医療とか薬の関係もあるかなと思うんですけど。どういうような使い方が想像できるのか、というところをすごく聞きたくて。
馬渕さん(以下、馬渕): 僕の技術があることによって、もう治らない病気が、すぐに治るっていうことではないとは思うんですけれども。今、細胞治療ですね。細胞治療っていうのは、皆さんが今、すでにある治療法プラス、もう1つ違う治療法ということで、新しい選択肢を与えることができる。そういった技術かなと思います。
Sean: はい。
馬渕: というのは、やっぱり1つの病気だとしても、実は細かく見ると、いろいろな種類があったりして、同じ病名でも、こちらはこの薬が効くけど、実はこの薬が効かない、という時があるんですよね。
効けばいいんですけど、効かないときに、今は自分たちの治癒力に任せたりするしかないんですよね。
そういった場合に、皆さんはいろいろな、本当に治るかどうかは分からない、怪しい薬を飲んでみたりとか温泉に入ってみたりとか、いろいろするんだと思うんですけれども。
その中で、医学的に研究的にきっちりエビデンスを持った細胞治療というものがあると、もしかしたら、それがすごく効くかもしれないということで、(新しい治療法が)欲しい方に新しい選択肢を与えることができる、そういった技術になるんじゃないかなと。
Sean: 病気にかかっている人にとっては、やっぱり、どれぐらいのオプションがあるのか。とか、自分の体に合うというか、自分のライフスタイルに合うとかいうようなものは、研究で証明されたというのが、すごく大事だと思うから。
確かに、もう1つの選択肢があるっていうのが、自分に合うもので、病気と、治るのか、付き合うのかとかいうようなところに、すごい力になるなぁというふうに思っていて。それをどんどん作りに行くと、すごい患者さんのためなんだよなぁと思いました。
馬渕: そうですね。まあ、薬だったら簡単に毎日飲めるんですけど。手術って毎週できないじゃないですか。
Sean: うん。
馬渕: そういった場合に、一回何か処置するだけで、幹細胞はずっとそこに残り続けていい薬をずっと出し続けたりするので。
普段、例えば足が痛かったときに、湿布貼っとけって。また足が痛い時にまた湿布貼っとけって。いわゆる根本治療が治ってないところで、例えば、その細胞で根本的に治療が治れば、長い間患者さんのQOLというか、ハッピーが増すので。
そういった意味では、今までの薬はワンプッシュの薬ではない、新しい効果が、細胞治療では認められるかもしれないですね。
患者が“知る”ことから始まる医療の未来
Sean: その中で、細胞治療とか再生医療って可能性がすごくあるんですけど、まだ多分、そこまで普及されていないっていうことにはなるのかなと思ってるんですけど。
研究なのか、医療の考え方なのか、多分いろいろあると思うんですけど。
馬渕先生から見て、これがあれば、もっと細胞治療が増えるとか、これがあったら、もっと普及させられるなっていうものってあったりします?
馬渕: それはすごく重要な点で、やっぱり治療に対して、患者がもっと興味を持つっていうのは、すごくその再生医療を支える重要な基盤になるかなと思います。
僕とかだと、やっぱり病気を知ろうかなとか。治そうっていう意味合いが、例えば10年20年ずっと考えているので、知識も自然と溜まっていくんですけれども。
突然病気になった患者さんっていうのは、早く治したい早く治したい、どうすればいいの?
じゃあ、もともとこれは治る病気なのか、治りにくい病気なのか。あとはどういう選択肢があるのかっていうのを、きちっと考えずに、お医者さんに言われた通りにやってしまうんですけども。
そうなった場合には、いろいろ調べる。サイトとか、ホームページとか情報がいっぱいあるので、もし病気になったら、その病気を自分自身で知って、自分自身で治療を求める。
そういうことをすると、再生医療とか、新しい治療の時にも、間違いがないというか。
きちんとした治療を受け、選択できるようになるので。患者さん側のそういった知識を求める力っていうのが普及するために重要かなと思います。
Sean: なるほど、病気にかかってしまって、いろいろ怖いとか。言われた通りに、よくわかんないからとかいうところを。そのタイミングが大変だろうと思うんですけど、やっぱりその時にどういうような病気なのかとか。どういうような治療があるのかというところを調べたりして。
その細胞治療とか、再生医療が1つの可能性としてあるということを分かった上で。
もうちょっと、こういうような治療をその方向性で患者さんが選ぶ、というような選びやすい世界を作れたら、もうちょっと普及するというような感じですね。
馬渕: そうですね、あとは再生医療って、今研究者がやっているというイメージが強いですけれども、実はもうそのフェーズは終わっていて、今は企業の人が多く入っているんですね。
やっぱり大学では発見をして、治る可能性をどんどん作っている段階なんですけど。やっぱ製品化するためには、すごく長い道のりと体力が必要なんですね。
そういう場合は、もちろん研究者も必要なんですけれども。企業の研究者とか企業のそういう製品を作る人。あとは法律とかですね。そういった制度を作る。
そういう人たちが一丸となって作っていかないと、なかなかどんどん普及っていうのは難しいので。
日本は今、すごく力を入れて、国が力を入れて推進しているので、ぜひぜひ国民の皆さんも興味を持ってサポートしていただけると嬉しいなと思っています。
細胞治療の世界に入ったきっかけは、ワニ革のバッグ?
Sean: 馬渕先生の様々な研究を聞いて、すごい面白い。その中の話もそうですし、考え方とか、その両立。ディープな理解というものと、社会課題を解決する。
いろんな話がすごい面白かったなと聞きながら思ったいて。
そもそも研究、多分、馬渕先生といろんなことができたんですけど、なんで研究者になったのかというところがすごい、そもそも的なところなんだけど気になりました。
馬渕: そう、なんでだったんだろうね。
でも確かに小さい頃なりたいものって書いてたのが、汽車のパイロットっていう。汽車はパイロットって言わないんだけど(笑)鉄道の運転手になりたいみたいなのを書いてたから。
(研究者は)ちっちゃい頃からの夢ではなかったのかもしれないけど、やっぱりこういろいろ。まあ、理系に進んで、いろいろ研究とか実験していったときに、結構面白いなって思ったのが、まず最初のきっかけかもしれないですね。
なんか一番、やっぱり研究者の特徴っていうのが、研究者って興味っていうか、興味がそのまま仕事になるので、仕事してても楽しいというか、そこが一直線につながっているので。
じゃあ、土日仕事してないかって言っても、結構ずっと研究のことを考えていたりと、それが全然苦じゃないし、そういったところに1つ魅力を感じたっていうのもあるかもしれないですね。
なので、やっぱりそうですね。
最初、僕が修士に入るときに大学には、人工皮膚って、皮膚をフラスコの中で作る研究室があって、そこで普通の人は治療に役立つかもって思うんだけど。
僕の場合は、これワニの皮膚を作ったらワニ皮のバッグむっちゃいっぱい作れて儲かるやん!みたいなことをちょっと考えて。(笑)人の皮膚を増やせるのであれば。
だから、あ、これ一括千金じゃない?と思って。その日のうちに先生のところに行って、人工皮膚をやりたいですって言って。
「どういう疾患に使いたいの?」って言われて、疾患は分からないですが、ワニ革のバッグに使いたいですって言ったら、それはちょっと難しいかなって言われて。
まあ、でも、受け入れてくれて。そこのラボは、表皮じゃなくて、真皮の研究するところだったから。表皮はうちではあんまり作れないよって言われて、でも真皮もやりたいですって。
そこから、細胞治療の世界に入ってそういうところがありますね。
Sean: なるほど面白いね。今はどうですか?ワニのカバンって持ってます?
馬渕: ワニ革(のバッグ)は持ってないんだけど(笑)
いや、もともとなんかそういった商売気質というか、儲かるかもってのが、意外と好きなのかもしれない。
自分では認めたくないけど、確かにこれ結構、こんなこと培養肉もそうだよね。これってなんか儲かるんちゃうみたいなの?
Sean: 儲かるんじゃないかって?
馬渕: 結構、研究者としてあるまじきモチベーションなんだけれども。
なんかこう人がびっくりするものとか、人が欲しいなって思うようなものに、どんどん興味を持って、いろいろやってるっていうのが、きっかけの1つかなとは思います。
「時間を忘れてしまう」からこそ、研究が天職だった
Sean: 面白いですよね。
そうでも、すごい若い時にパイロットになりたいとか、運転手になりたいというところがあったんだけど、理系で進めば進むほど、研究面白いかもっていうところがあったかなと思ってて。
でもそれに対してこれ儲かるかもしれないとかいうような、そのバランスとして、めっちゃ面白いなと思ってて。
そもそもそういうところ理系だなあと思った。なんだろう、それもすごい聞きたいなと思ってて。
なんで理系を選んだのかとか、やっぱり若い時からそういうような世界、そっちの方に興味を持つとかいうような感じでしたか。
馬渕: 多分、結構親の影響かもしれないですね。
親が獣医で、保健所に勤めてたんですけど、研究もしてたんで、休みの日は、動物がいるところに連れてってもらって遊んだりとか。
なんか隠れんぼすると、普通に牛の脳のホルマリンがある部屋でずっと隠れてたり、そういった生活、あの牛にこう餌をあげたりとか、普通にやっていたので、周りに動物がいたり、周りに研究者がいたっていうところがあって。
今から思えばそうだったというだけで、その時はなんかそれが当たり前というか、お父さんの職場とか、お父さんの仕事みたいな感じでいって。
家にも顕微鏡があって、顕微鏡でいろいろ勝手に見たりとかしてたので、そこで、すでに理系おもろいよみたいなのが、もうだいぶ(進路が)狭められてたのかなと思います。
Sean: なるほど、いや、うらやましいなあ。
まあ、なんだろう、よくアメリカで、理想の仕事は、楽しく働くことだとは思わない。
だから、一日も働いたことがないですっていうような人がすごい憧れてるっていうことがあって。
週末でも、苦がなく研究のことを考えてるっていうのが、本当にこう若いときからそれをもう見つけたっていうか。
なんかこれが当たり前のような環境になったっていうのが、すごく素敵なストーリーになってるっていうか。それを見つけて好きなものができている。すごくいいなと思いました、その話。
馬渕: それって聞くと、なんかこう素敵で、かっこいいかなと思うんだけど。もう1つ、実は理由があって。
今はだいぶ治ったかもしれないんだけど、時間的感覚っていうのが、僕はすごく人よりも欠如していて。すべてにおいて遅刻するし、すべての約束を守れないっていう。
実は何かが欠損している性格で。結構のほほんと育てられたからかもしれないんだけど。
親とかに、「あなたは社会人として、仕事できないんじゃない」みたいに言われるぐらいだったんですけど。
比較的研究者って、時間がこう緩い、今はわかるんですけど、緩い部分があったり。
まあ、その分遅かったりもするし、そういった意味では、ああ、これが仕事じゃないと、僕は生きていけないかなって、ちょっと思った時期もあったので、やっぱりそういった雰囲気というか。
例えば朝何時に来て、必ずこれをやってこう報告して、こうこうみたいなのは、もしかしたらもうできない人間なのかもしれないです。
なので、残ったのが自然に。選択肢として、研究者が残ったっていう可能性も十分ありますね。
Sean: でも、なんか全然それが悪いことじゃなくて。みんなはみんなで必ずしも、例えばこの時間でこうこうってすごいきっちりしないといけないこともないし。
逆にそれがないからこそ、自分から見ると、研究者が非常にクリエイティブな方々だと思うので、時間とか、そういう制限がなくて、そのクリエイティビティを発揮できるような場所で輝いてるっていうのも、めっちゃすごいなと思って。
馬渕: ありがとうございます。
ただ僕の場合は、自分の興味にこうなると、ずっとそれをやるっていう癖があるので。昔はなんか、親は結構大変そうでしたね。
運動会の時に、兄の小学校の時だと思うんですけど、下の子が全然いない。僕が全然いないと思って、何時間も探してたんだけど、結局砂場で何時間もずっと1人で遊んでたっていう。多分、その時に砂場遊びがすごい、僕の中でハマっていて、砂場あるやん!みたいな感じで、多分、ずっとニコニコしながらやってるんだけど、その周りの大人が、なんか「洋がいない!」みたいな。
それを気づかずに、ずっとやってたっていうのを後から聞かされましたけどね(笑)
変わりゆく研究者像
Sean: 面白いねえ。
でも正直、きっと今のラボで大人気じゃないですか。馬渕先生が。
人と接触することもすごくうまいと思いますし、割と他者を大事にしているタイプじゃないかなと思ってるんですけど。
馬渕: いやショーンにそれ言われると、すごい嬉しいわ(笑)
いえいえ、ただ研究者としては、やっぱりまとめるときには、結構必要な、なんていうのかな。ラボを作るためのPIというか、まとめるためには、さまざまな能力っていうのが必要で、今、ちょっとこの辺は勉強中かなっていう段階ですね。
この間も武部先生と話したのは、それこそ、自由とか。まあ、例えばソフトにやることがまとめるためには、必ずしも最善ではなかったりするので、もちろん言うときには言わなきゃいけないし、やっぱ、人を最大限に発揮させるためには、ある程度のパワハラじゃないけど、ある程度のちゃんとしたミッションというか、適度なストレスというのは、きちっと与えた方が、クリエイティビティというのは上がるのかなとは思うので。
そこら辺の昨今、コンプライアンスもあるので、バランスだとは思いますけれども、そこら辺は勉強中かなと思います。
Sean: もやっぱそう言われると、1つのラボの中に入っても、そのラボを仕切ったとしても、一般的な会社員とかだとすると、この部署がこういうことをやってくれる、この部署は、こういうことをやってくれる、とかいうような。大きな組織だとそういうことがあるんですけど。ラボの中には、どのような研究をするのかとか、どこでこの研究費を取りに行くのか、どのような雰囲気で、このラボを運用していきたいのか、どういう風に下のメンバーを育てないといけないのかっていうのが、本当にもう1つ小さな会社やスタートアップのような組織で、全部自分が仕切らないといけないということがあって。結構、そこもハードル高い。
だから、研究者として先ほどの話で、間葉系幹細胞っていうことを見つけたっていうことだけじゃなくて、こういうような発見をずっと出すラボも運用しないといけない。
すごく大変。普通に言うと、めちゃくちゃ大変そうだなと思って。
馬渕: これは研究者になって、ようやくわかったところかもしれないですね。
よく、僕らの頃、僕の世代だと、研究者ってどっちかっていうと、もうなんか没頭してて、他とコミュニケーション取れないとか、いつも白衣を着ていて、イメージなんだけど、実際、多分ショーンも知ってると思うけど、研究者って、そういうふうではなくなってきていて、比較的いろんな人から情報を集めなきゃいけないし、周りにアウトリーチというか、発信をしなきゃいけないので、研究者像自体が変わってきているということで。
PIになったときに、人とちゃんとコミュニケーションを取らなきゃいけないんだとか、さまざまなスキルが必要なものが大きく変わるんじゃないかなと思います。
ストレスフリーな研究生活のコツは「客観性」と「鈍感力」
Sean: 例えばなんですけど、今一緒に働いているとか、ディレクションを出しているメンバーとか、どう思われたいのかとか。何をこう自分がいないときに、馬渕先生って、こうだよねって、この部分は、一番それを耳で聞いて、一番嬉しいなと思うことはなんだと思います。
馬渕: なるほど、どう思われたいかってことだよね。
Sean: うん。
馬渕: 多分僕が教えるときに、例えば3人ぐらい学生がいたときには、他の人の進捗とか興味持たなくていいよって。結構指導しているかもしれないですね。
いわゆる、自分のやるべきこと以外の情報はある程度カットしてもいいんじゃないかなと。
いわゆる他人と比べるなって言うことなんですけど。
どう考えても、僕が一生懸命、ニンジンを前にぶら下げているのに、隣の子のニンジン見えちゃったら、そっちに行きたがったり、あっちの方が美味しそう、2つあるし、みたいな。
結局、こう、バランスが悪くなってしまうんですよね。
なので、僕自身もどうしてもね、同じような世代の人のこととか気になる場合もあるんだけれども、そういうモードになったときには、他人は他人、自分は自分っていうふうにするので。
周りからどう思われているんだろうか?わからない。あまり気にならないかもしれないですね。
気にしないのって、非常に逆にストレスフリーですよね。
他人と比べなくてもいいので、例えば、僕が夜中の12時まで研究してたとして、5時ぐらいに帰っちゃう研究者がいたとしても、僕はあまり気にならないですね。
もう仕事終わったのかなとか、僕は好きで研究してしているので、他の人がいい結果出ようと早く帰ろうと。もちろんおめでとうとは思うんだけど、なんかこう、ずるいとかはあまり思わないようにはしてますね。
それで考えると、どう考えても会社じゃ生きていけないって、自分のことしか興味ないからね(笑)
Sean: でも、今の言葉で、そう思わないようにしているのか、もともとあんまりそう思わないのか?どれぐらいそれは、意図的なのか。
馬渕: 僕は多分思わない方ですね。
なので結構、周りから、もっと周りを見るように言われたりすることはあるかもしれないですね(笑)
Sean: なるほど。でも、なんかいい、すごくいいところと、悪いところがあって。
周りを見て、比較しようとすると、確かにその、なんかずるいとか嫌だとか、こいつ、ちゃんと頑張ってないみたいな性的なところもあれば、それが1つのインスピレーションになるということもあるかもしれないんですけど。
馬渕さんはそういう意味だと、周りの人を見て、それより上に行くっていうことじゃなくて、自分がこう、やりたい研究に深く入るように、いくらでも時間をかけられるというところがあるとすると、逆に、今日落ち込んだなぁとか、あんまりやる気が出ないなぁみたいな日って、そもそもあるのかというところと。
馬渕: ある。
Sean: あるんだ。
馬渕: あるある。
でも、何回かあるんだけど、あっ、俺、今すげえ、落ち込んでんじゃん。面白いって思う時がある。
なんか、あれ、意外と気にしてんじゃん、お前って。
その自分が多分、気分が落ち込んでいると、なんか自分で落ち込んでいるって感じてないのかな。なんかこうずっとなんかこう歩きながら、「あれ、今、すげえ落ち込んでない?お前」みたいな、そういう時はありますね。
Sean: 面白いね。
馬渕: 僕も落ち込むんだみたいな、あれ嫌だったんだあ、とか。たまに嫌だった理由を忘れて落ち込んでいる時があって。
あれ?ちょっと待って、今、気分すごく落ち込んでるけど。あれ?俺、何があって、僕は今落ち込んでるんだっけって、忘れちゃうときがある。
それで、あっ、そうだ、あの実験の結果がうまくいかなかったから、今、俺は落ち込んでるんだみたいなね(笑)そう、後から理由を回収したりするときがあるぐらいで、何かがちょっと欠損してるかもしれないですけど。
Sean: めちゃくちゃ面白いな。
でも勝手にあれなんだけど、うちらがこう、ステラ・サイエンス・ファウンデーションというところで、「ステラ」という言葉は、まだ誰も知らない、世界を変えるかもしれない研究っていうようなところを見てて。
すごい勝手に解釈してしまって申し訳ないんですけど。今日の話で、ステラとは何なんだろうっていうところで。
結構こう鈍感力、ストレスに負けない。
でももう1つ、今の話で、自分のこと客観的に見れるとか、客観性があるっていうのがあるからこそ、馬渕さんはステラじゃないかっていうふうに解釈しちゃったんだけど、合ってるかな。
馬渕: いや、もう絶対あってんじゃない。ありがたいね。
やっぱり、ステラサイエンスっていうところに込められた思いって、
「輝く」みたいな、そういった意味合いがあると、やっぱり本人が持っているパワーとか、それが周りに影響するっていうイメージを受けているので、ぜひそういった研究者を集めて、育てる団体になっていただきたいなと思う。
Sean: もっと馬渕さんっぽい人たちを、どういうふうに集めるのか、育てるのかわからないんですよね。
馬渕: いやいや、たぶんまたその1人1人にとって、僕の場合は、ストレス耐性で生き残った場合なんですけど。
やっぱりスタンダードに、本当に能力が高くて、スパン!といった人もいますし、いろんなパターンがあるのが、やっぱり、研究者の面白いところで。
多分、例えば、僕と同じようなスケールで研究者になっても、同じ結果が出るとも限らないので。
そこがやっぱり、その研究者のインキュベーションの難しさであり、面白さでもあるかなと思います。
80歳になっても、きっと“マイブーム”を追いかけている
Sean: なんかもう1個、若干いじめの質問になっちゃうんですけど。
馬渕: いいよ、とうとう来たね。いつ来るかなと思ってたんだよね(笑)
なんか今までずっとね、こう普段見たこともない、なんか真面目そうに来るから、いつ梯子を外されるのかなと思って。
Sean: 聞こうと思ってたのが、馬渕先生が研究が大好きで、自分が興味を持っているもの、すぐにそれを見て、あんまり周りを気にせず、すごい楽しくその研究、働いているっていうより、自分の趣味というか、自分の興味で楽しくやっているように見えて。
例えばなんですけど、70歳になったり、80歳になったりするときに、どうするのかっていうのが、いじめっぽい質問なんだけど。
どちらかといえば、なんだろう、いつか引退して終わりにするっていうようなことにならないんじゃないかなと思ってて。
その辺って考えたことがあるかないかとか。
馬渕: あるある。多分ずっとなんかマイブームを追いかけていると思う。
Sean: 絶対そうですよね。
馬渕: 多分、今は間葉系幹細胞だけど、間葉系幹細胞って実験室が必要だし、ある程度研究にお金が必要なんだけど。
たぶん、それ以外にも、こう楽しめることっていっぱいあって、なんで木が緑なんだろうとか、いろいろ多分、興味がいっぱいあるので。
そういうのはずっと、研究以外の科学のことを、いろいろ調べて考えたりするのかなあとは思います。
異分野に学び、自分の研究を拡張する
Sean: もう1つ、聞きたかったなと思ったのが、最近馬渕先生から見て、この研究がすごい面白かったという、これがステラな研究だなっていうものがあれば、どんな分野でも大丈夫なんですけど、そういうものがあればお聞きしたいなと。
馬渕: ありますあります。
最近っていうのは、結構僕、昔から気になっている研究者がいて、実は高校の先輩だったりもするんですが。
ペンギンにGPSをつけて、それを観察するっていう人がいて。
なんでそんなことをするかっていうと、バイオロギングっていう分野なんですけど。ペンギンがどういうふうに動くか、まあ、渡り鳥とかもそうですよね。
どういうふうに動くかっていうのを調べることで、自分たちが知らないペンギンの世界を見たり、あとはクジラの世界を見たりするっていう。
本も出てるし、先輩、情熱大陸も確か出てたと思うんですけど、それがね、すごい面白い。
僕もすぐ本買って。
例えば、例えばクジラってどうやって寝るかって、絶対知らないよね。わからないじゃん。
で、クジラにGPSをつけてずっと調べたら、実はクジラって縦で寝るんだって。頭を上にして。なぜかな、わかんないんだけど、寝てる時にクジラってこう、あの縦にこうなって動かず。そういうのがわかったりとか。
ペンギンはこうピュンって潜った後、意外とすぐ上がってくるとか。どういうふうに移動するとか、どういうふうに子どもを育てるっていうのも、GPSを使って、GPSデータで。
だから面白いなと思って、じゃあ間葉系幹細胞にGPSをつけてこう注射したら、どこにどう行ったかやれるんだっていう発想にもなるし。
結構面白かったのは、透視の科学っていう。波動のこうわからない形の物質があって。波動を当てて、その帰ってきた歪みとかを計算すると、その形がわかるっていう技術があって。
例えば、ガンがあるかどうかって調べたりとか、そういう技術が今、やられている先生がいて、あれはすごい面白いなと思っていて。
何にでも医療に使えるのも面白いんだけど、その先生が言ってたのは、宇宙から、例えば、日本をバーッとそれで波動を当てると、埋蔵金とかがそれでお金とかそういう宇宙にあるのか、徳川埋蔵金かわからないけど、宇宙から波動を当てると、あ、ここがちょっと怪しいぞって言って、そういうそういった宝を見つけたりするっていう技術にもなり得るって言っていて。
「えっ」と思って、それでまた僕はじゃあ、間葉系幹細胞を打って、波動を当てれば、どれぐらい定着しているかなとか。全部それに帰着するんだけど、面白い技術って、自分の技術に応用したら、掛け算がどんどん面白くなるし。
なので自分の分野以外の、そういった研究にも、興味があって面白いなあと思いながら、見るっていうのも、いい趣味かな?と思ったりもします。
Sean: 面白いですね。そういうようなものを見て、これ試してみるのかとか、インスピレーションとして使うこともあるかと思うんだけど、もしかして、他のあんまり周りを見比べないということがあるので、もしかして、この人になりたいとか、この人のこの部分ができるようになりたいと思わないかもしれないんですけど。
将来的に、なんだろう、こういうような研究者になりたいとか、10年後、こういうふうにパワーアップしていきたいとか、将来的にこういうようなことができるようになりたいということがあれば、それもぜひ聞かせていただきたいなと思いました。
馬渕: そうですね、研究者としてっていうか、人としてなのかもしれないけれども、面白い研究の元ネタって、どうやって得たかっていうと、やっぱ友達と飲んでてとか、友達とお茶してた時に、「最近おもろい研究ある?」って聞いた時に、いろいろ聞いたりしている。自分で調べて、自分で解釈してってことがあるので人から聞くのも面白い分、僕も面白いことがあったら、結構シェアしたいんですよね。
Sean: はいはい。
馬渕: だから、将来的には研究者像としては、何かわからんけど、馬渕さんと話してたらおもろい話が入ってくるなとか、そういった研究者になれるといいなと思っていて。
会った時に相談っていう形でもいいと思うんですけど、なにもないときに、じゃあ飯でも食いに行きますかって話すと、いや、最近ね、こういった研究がおもろいんだよ、みたいなことを話して、また変わりましたねーでもいいんですけど。
そういった、ワクワクさせるような、そういった研究者っていうのが、1つ目標とするところかなと思います。
Sean: 面白いね、ありがとうございます。
ここでもうどれくらい話してるのかって、あれなんだけど。私はずっと馬渕先生と話してて、常にワクワクできるから、実はそのゴールはもう満たしてるっていうことはあって。
でもそういうワクワクがあって、気づいたら、もう。時間になっちゃったっていうか、もうここで時間がなくなっちゃったっていうことがあって。
だからまた、ぜひ近いうちに、またいろんな話を聞かせていただいて、またワクワクさせてくださいっていう。
馬渕: わかりました。次までにまた新しいのを仕込んでくんで、ちょっと今日はこれかなみたいなのをちょっと入れておきます。
Stellar Lab Radio、まだ誰も知らない世界を変える研究について。
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