Stellar Lab Radio 第3回 ゲスト:三浦 恭子さん

ハダカデバネズミ研究を通して「老い」と「共生」の謎に迫る、九州大学大学院医学研究院 教授・三浦恭子さんをお迎えしたStellar Lab Radio。
前編では、デバネズミの飼育環境づくりや繁殖の工夫、がんや老化に強い体の秘密、そして平和な社会を支える仕組みを深掘りしました。
後編では、三浦さんが研究にのめり込むまでのキャリア、バンド活動と科学の意外な共通点、“120%やってダメならそれでいい”という挑戦哲学、そして若手研究者へのリアルなメッセージまで。
研究者・三浦恭子さんの人柄と信念に迫りながら、「研究の楽しさ」と「挑戦することの価値」を紐解きます。
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「もう大学行かんでいいかな」やりたいことがないと迷い続けた高校時代から、「研究って面白いかも」への一歩
Sean: ちょっとだけこう、話を違う方向で、話として出てきたと思うんですけど、ぜひ、なぜ三浦さんが研究者になろうとしたかとか、研究のどこが好きなのかという、もうちょっとこう、自分と研究の関係性について、いろいろ聞かせていただきたいと思ってるんですけど。
三浦: うんうん、うんうん。
Sean: もともと結構その、健康寿命を延ばしたいとか。なんで人が病気になるのかというところで、人間の健康に貢献したいっていうお話があったんですけど、もともとそうしたいなと思ったきっかけ?とか、何かあったらお聞きしたいなと思うんですけど、いかがですか?
三浦: そうですよね、きっかけか。研究者になるきっかけってことですよね。
Sean: そうです。
三浦: あまり、もともとそこまで研究者になりたかった人じゃないんですよね。
Sean: あっ、そうなんですか?
三浦: そうなんですよ。結構、そういう意味では、割合小さい頃から研究者になりたかった人、多いじゃないですか、研究者って。私はそうではなくて、でもあまりやりたいことが見つからなくて。
三浦: そうですね。だから高校生の時も結構その、なんていうか、やりたいことが見つからなくて。うーん……迷いの人生を。
(お互い笑う)
Sean: そうなんだ。
三浦: そうなんですよ。
Sean: でも、結局ラボに入って。
三浦: まあ、そうですね。そういう意味ではサイエンスというか、要は理系にするきっかけになったのは、やっぱりその高校の時の化学の先生だった恩師の先生が、村上忠幸先生という先生なんですけど。授業がめちゃくちゃ面白かったんです。
Sean: なるほど、はい。
三浦: やっぱりそういうので、若い時ってめっちゃ影響受けるんですよね。ああもう、科学って面白いなあ、と思って。いや、なんかもう大学行くのやめようかなって思ったんですけど、その頃。
Sean: なるほど。
三浦: あんまり興味がなかったので。なんですけど、いやこれはやっぱり理学部に行って、科学の勉強をもうちょっとやることにしよう、と思って。
Sean: おお、すごいですね。
三浦: で、親に「やっぱり大学行くわ」みたいな感じで、大学に入ったんですけど。そこからちょっとバンド活動に熱中しちゃってですね、結構やるとやり込むタイプなので、だいぶいろいろやり込んでしまって。
Sean: はい。
三浦: で、まあまあ、ちょっとバンドでさすがに飯は食えないけど、結構音感は良かったんですよ。なんかそういう、レコーディングとか、そっちの方で手に職つけれないかなっていうので、ちょっとこうふらふらっと行ったんですけど。行ってるところで、4年生で研究室に配属されたんですよね。
Sean: なるほど。
三浦: 配属されてみて実験を始めると、めっちゃ面白いってなって。
Sean: ええ!
三浦: で、めっちゃ面白いから、ちょっとやっぱり、しっかり大学院に行って、修士博士課程ぐらいまでしっかりやってみて、もしそこで向いてたらアカデミアに行く道も残して、十分、120%やりきったって思えるまでやってから考えようと思って、修士課程に進学して。まあ、そのときにその山中先生のところで、まだiPSはなかったんですけど、ES細胞の未分化状態を維持する仕組みとか、いろんな細胞に分化できる仕組みとかを知りたいと思って、山中先生のところに入って、っていう。
バンドに全振りした大学時代、曲づくりと研究は似ている?──「作品を仕上げる」プロセス論
Sean: へえ。でも、ごめんなさい、バンドの話でめっちゃ気になりました。
三浦: いや、もうそんな大したことないという。
Sean: 教えてください。どういうような、こう…
三浦: そうですね、ギターボーカルしてたんですけど、
Sean: ええー!
三浦: あと曲作ったりとかしてて。
Sean: すごいですね。
三浦: いやいやいや、あの全然、本当にもうアマチュアの……。
Sean: でも結構こう、夢中になってて。
三浦: そうですね。そうそう、楽しかったんですよね。
Sean: なるほど。結構、その教育学の中で理系と音楽が、すごい脳のどっかに、そういう近いところがあって、
三浦: ああ、そうかもしれないですね。
Sean: なんか音楽に強い人は、数学にも強いとかいうようなこともあったりするんですけど、なんかあるのかな?そういう。
三浦: どうですかね。でも、なんかまあちょっと似てるところはあって。その、1つの曲を作って、要は最初のアイデアを出して、原案を作ってから、例えばそのバンドのメンバーとすり合わせて、どういう曲にしていくかっていうのを相談しながら、なんやかんや試行錯誤して作っていって、最後は何か音源にして、CDにして発表するか、もうないしどこかのでっかいライブで演奏するかですよね。なんとなく、ちょっと研究と似ているところがあって…
Sean: 似てる。はあ、面白い。
三浦: だからなんかハマっちゃった、っていう意味では、やっぱりちょっとそういうプロセスが似てるからハマっちゃったのかもしれないですね。
Sean: はあ、面白いですね、面白すぎる。なるほど。
三浦: まあそうなんですよね。だから親とかは、あんたが大学の先生になんでなってるんや?って。
(お互い笑う)
三浦: 自分でも分からんっていう。
Sean: 面白すぎる。
「120%やってから悩む」── 後悔しないためのマイルール
三浦: うーん、なんかね。まあ、人生わかんないもんですよね。
Sean: そうですよね、もうあの……悩んで歩んでいくしかないですね。
三浦: そうですね。でも、やっぱり何かにハマったらこう、120%やり込むと、まあ時間かけたら、やっぱりかけただけのなんかはね、はい。
Sean: その120%の発言がすごい気になって聞こうと思ったんですけど、そこをとりあえず120%ぐらいを研究にかけて、まあ面白かったら面白かったで。じゃなかったら、やめようみたいな。
三浦: そうそうそう。
Sean: とりあえずかけるっていう。なんかその、とりあえず120%をかけるっていう思考っていうか、それがどこから出てきたのか。もともと誰からそういう話を聞いたのかどうなのかとか、ちょっと気になってたんですけど。
三浦: あー…なんかどうですかね。なんかその、誰かから聞いたってわけじゃないんですけど、あとで後悔するのが嫌なんですよね。
Sean: ああ、なるほどなるほど。
三浦: なんかこう要は、まあまあ適当にこなして、ものにならずにやめると、そういう意味では結構精神論も大事にしてて。あとから振り返って、失敗したとしても、あれだけ頑張ったんだから別にもう悔いはないというか。そんだけ頑張ってできなかったんだったら、もういいじゃんっていう気持ちになりたいんですよ。
Sean: なるほど。
三浦: なので、何かをやるってなったら、やっぱりあとで後悔しないぐらいの量はやっておきたい。でも、実際のところ120%できてないんですよ全然、私。
Sean: 本当?
三浦: できてないけど、多分そうしたいという気持ちがその発言につながっているけど、実際のところは…ちょっと言い過ぎや。
Sean: いやいや、すごいね、面白いね。でも、どう?バンドは。何%で出来ましたか?
三浦: いやー……まあ、でも100ぐらいはできたんじゃないですかね。120はちょっとあれですけど。でもね、やっぱり続けときゃよかったなっていうのは、ちょっと思ったんですよね。でもやっぱり、研究を始めて、なかなか両立させるのが、ちょっと体力的に難しくて。
Sean: なるほど。
三浦: でも、ここはもうスパッとやめようっていうので。まだ解散はしてないんですけど、実は。ちょっとあの……しばらく休止が。もう、20年休止。メンバーとはたまに連絡を取っているんですけど。
Sean: マジですか、すごいですね。じゃあ、どっかのタイミングでまたバンドを再開するかもしれないですね。
三浦: そうですね。
失敗は「行かなくていい道」がわかるサイン?トライ&エラー思考
Sean: 素敵ですね。いや、なんかすごい素敵だなと思ったのが、まず、とりあえず後悔しないように、120%をかけて。なんか別にそこは失敗しても、頑張ってるからいいじゃんっていうことが、めちゃくちゃ素敵な言葉、素敵な考え方とか、素敵なアプローチなんだよなって、個人的に思ってて。
三浦: 多分その、やりたいことっていろいろ出てくると思うんですよね。世の中、面白いことがたくさんあるので。なので3年とか5年とか区切ってバンとやって、あかんかったらさっとやめて、次に行けばいいって思うのですよね。
Sean: ですよね。たぶん多くの人が…ちょっと偏見的な、私の偏見かもしれないんですけど。多くの人がやっぱり失敗したくないとか、失敗するかもしれないからやめよう、とかいうような人が多いんじゃないかなと思ってるんだけど、逆に全然その失敗と関係なくて、何かもうやることを決めて、やるまでやるっていうようなことがあると、別に失敗するという心配もない。何かもう、やること決まったからこれでええじゃんっていう。すごくいいなと思ってて。
三浦: うんうん。失敗も、なんていうか、貴重な経験ですし、この失敗があったから、こっちのルートはいかなかったっていうだけの話になるので。
Sean: 逆に、失敗したから行かなくていい方を、分かったからっていう。
三浦: そうそう。でも研究も一緒なんですよね。
Sean: なるほど。
三浦: やっぱり何が出るか分からないので、実験してみて。で、そっちの方向が正しかったら、なんていうか、まあ思いがけない結果につながることもありますけど、そのルートに行くわけですよね。でも、そこで予想通りの結果が出なければ、そのルートじゃない方向に解析が進むので。ある意味、研究も結構似たような感じですね。
Sean: 面白いですね。
三浦: トライアンドエラーですね。
Sean: トライアンドエラー。で、失敗するか失敗しないかと考えるより、逆に失敗があったら明確になるから、早めに失敗しようとか。
三浦: そうそう。
研究と音楽に共通する「気持ちいい違和感」
Sean: 何かもう1個、バンドと研究で音楽を作る…ごめんなさい、バンドじゃなくて音楽を作るプロセスと研究のプロセスが、実は近いとか同じようなことをするっていうのも、そこもすごく面白くて。やっぱりそういうプロセスでアイデアがあって、コラボレーションして作り上げてって、最終的に論文なのか、CDなのか、みたいなところで持ち出すっていう。似てるなあと思って。
三浦: なんかちょっと似てる気がするんですよね。
Sean: そういう意味だと研究者にとって、何だろう…もうちょっとミュージシャン的な考えを、こう、ミュージシャンとか音楽を作る人たちがここを大事にしているから、それはもうちょっと研究に入れていいかも、っていうところがあるのかなと思って。ミュージシャンと研究者が話したら、共通している部分とそうじゃない部分、どういう学びがあるんだろうと思ってて。
三浦: それは面白いかもしれない。
Sean: なんなんだろうね。なんかあると面白い。
三浦: 「ちょっと気持ち悪い」っていうのが大事だと思うんですよね。ちょっとした違和感というか、新しさというか。それは研究でも音楽でも一緒じゃないですかね。完全に調和してたら多分、なんというか、元と同じなんですよ。よくある音楽。
Sean: はい、はいはい。
三浦: この曲聴いたことあるわ、みたいな曲になっちゃうけど。で、完全に変だったら、誰も理解してくれないので。何やこれ、気持ち悪って言って、買ってくれないじゃないですか。だから、ちょっとした新しさ、ちょっとした違和感みたいなのと、研究もなんかちょっと似てるところはあるかもしれないですよね。気持ちいい違和感みたいな。
Sean: はい、気持ちいい違和感。なるほど。それも音楽にも必要だし、
三浦: すみません今適当に話してますけど(笑)。
Sean: いやいや、あのね、すごく面白い。違和感っていうのがすごく大事だと思ってて。よくこう、デザインプロセスの中に、どこに違和感を感じているのかというところが、すごい重要なヒントがあって。
三浦: ああ、なるほど。デザインもそうなんですね。みんな一緒なんですね。
Sean: 結構、その部分が近いんじゃないかなと思って。
三浦: 結局、何の仕事でも共通している。バンドと、音楽と研究に限らず、結構広い分野で、共通点が多いんじゃないかなと思いますね。
Sean: でも、何かそういう意味だと気持ちいい違和感。研究で考えると、気持ちいい違和感とは?っていう定義しようとすると、なんかどういうものがあるんだろうと思って。
三浦: でも、そうですね。気持ちいい違和感、よく考えると、研究者やともう、常識を覆す大発見とかになってくるから、ちょっと気持ちいい違和感じゃないかもしれないと思ったんですけど。すいません、適当に話して。
Sean: いやいや、でもなんか機会あるんじゃないかなと思ってて。やっぱり面白い。いろんな研究者と話していて、なんかこう……ちょっとこうひねりが必要とか、ちょっと違和感が必要とか、くねった部分をちょっと足さないといけない。それが、研究実験の中の実験を戦略的に考える時に入れるのか、その論文を書くときにちょっとひねりを入れるのか、とかよく聞くんですけど、それを言語化しようとすると、ひねりとは何なんだろうとか。
三浦: ああ、確かにまあ、そうですよね。でも、やっぱりそういうデータとか、実験してみて結果が出たときに、あれ?予想と違うっていう時に、めちゃくちゃ注意して、いろんな仮説を立てて。要は常識じゃない結果が出てた。すごい面白い結果につながってるんじゃないかっていうのは、考えようっていう話は一般的によく言いますよね。
Sean: そうですよね、その予想外がヒントになってるっていう。なるほど、面白いですよね。
三浦: なんかね、結局何が出るか分からないことの方が多いじゃないですか、生物学の研究って。やっぱりそういう意味では、さっきのトライアンドエラーなんですよね。あれやこれや考えすぎて何もやらないよりは、とりあえずやってから考えたほうがいいというのは、生もの相手だとですね、サバの細胞の研究とかですね。
Sean: その、予想外ばっかりでもう疲れた、みたいな感じにはならないってことなのかな。
三浦: その辺はね、私はやっぱりもう、なんていうか刺激的な方が好きで。刺激的で、あと危機的な状況の方がやる気が出るタイプなんですよ。
Sean: 危機的っていうのが、なんかやばいかも、っていう。
三浦: もう、追い詰められているほうが頑張れるタイプですね。逆にちょっとぬるい環境になってくると、やる気なくしちゃうっていう。
Sean: なるほど。じゃあ逆にその刺激があって、これやばいかもっていうところで、波長しやすくなって。
三浦: うん。その方が頑張れるタイプですね。その辺は多分、やっぱりもう遺伝的な何かがありますよね、おそらく。
Sean: あるんですかね。ご家族は、似たような?
三浦: いや、うちの夫はもう、慎重に慎重に石橋を叩いて叩いて叩いて、最後は渡る前に壊す人なんですよね(笑)。結局渡らんかったみたいな。面白いんですけど。
夫婦タッグで回すラボ運営、対照的だからこそ上手くいく!?
Sean: 面白いですね。っていうか、そう、そこも話をしたいなと思ってたんですけど。
三浦: はいはい。
Sean: あの、すごい仲がいいっていうか。ずっとラボもずっと一緒ですし。
三浦: そうですね。
Sean: そう。そのなんだろう、秘密っていうか。
三浦: 秘密?
Sean: なんでそんな、多分こうほとんどの人が仕事…結婚相手と一緒に仕事をすると、バトルになりますよっていう発言をたまに聞くんですけど。
三浦: はい、はいはい。
Sean: なんか、なんでそう…うまくできるというか、一緒にやろうとしているのかとか。
三浦: ああ、もうだって一緒にやって10年超えましたもんね。
Sean: すごいですね。
三浦: そうですよね。24時間いると、なんかあの結婚してからもう2、3年目ぐらいですでに熟年夫婦みたいな空気のようで。
(お互い笑う)
Sean: なんか、あのデバちゃんほどの密度みたいな感じもあるかもしれないですね。
三浦: そうですね。
Sean: でも、もともと研究所が一緒?
三浦: いやいや、えっと彼はね、雑誌の編集者だったんですよね。
Sean: そうですよね。
三浦: もともと東京で、私が北海道大学で独立するときに、まあまあ、あの…ご厚意によりついてきてくださいまして。
Sean: すごいですね。
三浦: ちょっと、最初はデバの飼育からですね。飼育やなんか事務とか、いろんなことをちょっと学んでもらってみたいな感じで。
Sean: いやでも、チームとして動いていて、すごい。なんかすごくいいんですよ、外から見て。
三浦: まあ、ありがたいですね。やっぱり、もともと編集者なので、こういろんなところに気を回して、こう手配して采配振るのが得意なので。
Sean: 何かその力合わせがすごい…
三浦: 助けられています。
Sean: いいですね。
三浦: でも性格とかには、全く共通点ないかもしれないですね。逆に、だからいいのかもしれない。
Sean: そうかもしれないですね。逆に重複…重複っていうか、ないからこそ。
三浦: そうそう。
Sean: 面白いですね。1個すごく素敵だなって思ったのが、ラボの成功が、こう、ある意味で共通(共有)できるっていうところで、そういうようなチームっていうか、一緒にやってるってところもすごく素敵だなと思って。それも面白い。
「面白さはちゃんと言葉にする」ラボづくり
Sean: なんかそのラボの話になっちゃうんですけど。えっと、あれですよね、17人のラボ……いま17人?
三浦: 17人かな?嘘つきました。19です、はい。
Sean: 19人ですね。19人のみんな、それぞれだと思うんですけど、三浦さんはこういうような人、あるいはなんかリーダーとして、こういうようなリーダー、って私がその人たちに聞いてみたら、どういうような答えが出るのかとか、イメージあります?
三浦: ええー……分からん!どうなんですかね。話が長いと言われるかも(笑)。
Sean: そうなのかな?長いんだ。
三浦: お、あの人、話長いわ言うて。また喋っとるー言うて。口から先に生まれてきてしまって。
Sean: 面白い。
三浦: 無駄なことばっかり喋るんですよね。
Sean: いやいや、面白い。でも何かその、ラボをこういうふうに運用していこうとか、学生なのか、ポスドクの方とか、こういうふうに育てていこうとか、こう、マネージャーとして大切にしていることとかあったりします?
三浦: あー、でもやっぱりそれぞれの人の目標は、やっぱりいろいろなんですよね。うち、結構、学生が主体のラボなので。例えば、アカデミアに行きたい人もいれば、企業に行きたい人もいるし、博士取ってから企業に行きたい人もいれば、修士を取ってから、企業にっていう人もいるし、結構いろんな……先生になりたいという人もいるんですよ。
先生になる前に行こう、研究の経験を十分積んでから、サイエンスの面白さを伝える先生になりたいとか言う人もいるんですよね。それぞれに合わせて、なんていうかこう、研究室での目指すゴールっていうのも変わってくるので、そこを結構柔軟に考えるようにはしてますね。
Sean: なるほど。
三浦: でもやっぱり、おもろい研究をしてほしいというか、せっかくこんなに楽しいことをやっているので。もちろん、楽しいだけじゃないですけどね。実験はうまくいかないことも多いので。だけど、やっぱりその楽しさがちゃんと、なんというか、ワクワク楽しめるように頑張ってほしいっていうので、はい。
Sean: 結構、皆さんワクワクされてます?
三浦: うん、ワクワクしてるんじゃないかなと思いますけどね。多分、知らんけど。
Sean: きっとワクワクしてると思うんですけど。なんかそのワクワク……なんだろう、どういうふうにワクワクを生み出すのかとか、ワクワクさせるのかとか、そういうことだったりするのかな?
三浦: ああでも、伝えるのは大事にしてて。研究を始めた頃って、自分もそうだったかもなんですけど、何が面白くて、何が面白くないのかっていうのが分かるようになるまで、って多分時間かかるんですよね。で、これ面白いねっていうのを、やっぱりちゃんと言うように心がけてます。
Sean: なるほど、なるほど。
三浦: 言われないとわかんない場合は結構、研究は自分もそうだと思うんですけど、研究始めた頃ってわかんないから、それはすごくしっかり言うようにしてますね。
Sean: なるほど、なるほど。いいですね。その、研究を始めるときには、こういうような実験をして、こういうのデータが出てきてこれですけど、なんなんだろうと思う……
三浦: そうそうそう。
三浦: その辺はすごい、これはなんかね、研究室を運営していて、途中で気づいて。多分面白いのは分かってるだろうっていう感じで最初喋っちゃってて、でも始めたころはわからないんですよね。
Sean: はいはい、はい。
三浦: だからその、こっちがすごくワクワクしてるよっていうのを、やっぱりしっかり伝えないといけないなっていうのと、研究室を運営し始めてから、多分何年かぐらいで気づいて。で、より良くするためにどうしたらいいっていうことも、ちゃんと言わなきゃいけないけど、その前にこれがいかに面白いのかっていうのを、やっぱちゃんと言わんといかんっていうのは、最近。最近というか前から。
Sean: はい。なるほど、いいですね。でも、それがあるからこそ、多分ラボのメンバーがもっと面白いこと、面白いことを目指していこうとか、ワクワクするような目指していくというところを自分でじゃあ見つけてとか作ってという、その反応があるからこそ、そういうところにフォーカスするとかいうようなことがあるかな。
三浦: そうですね。
「実験が好きなら石の上にも3年」山中先生がくれた言葉と、研究を続ける理由
Sean: この若手の研究者に、もし何かアドバイスをするなら、どういうようなアドバイスをするのかなと、ぜひお聞きしたいなと思ってたんですけど。ここで結構、挑戦してみる、もっと意見を言ってみるとか、積極的になるっていうところもあるかもしれないんですけど、
三浦: さっきの話ともかぶるんですけど、迷ったら、一度にやれることは限られているので、時間があれだからなんですけど。もう本当にやりたいことがあって、迷うんだったら、やってから考えた方がいいっていうのが、まず一点と。
あと何か選択肢があったら、安全牌よりはチャレンジングな方を選んだ方が、多分うまくいくことが多い。リスクはリスクで、うまくいかなかったらやめたらいいだけなので。
Sean: なるほど。
三浦: リスクをとって、で「ああリスクや。あかんかった」ってなったら、すぐ撤退っていう方が、チャレンジの回数も増やせるので、こう、微妙に安全な方向に行くよりは、そっちの方がいいんじゃないかなっていう。その方が、多分人生長いので。
Sean: はい、はいはい。
三浦: トータルね、まあ、わかんないですけど。まあ、120歳まで生きるかもしれないですけど。まあ80歳か100歳までとしても長いですもんね、20歳から考えると。
Sean: はい、そうですね。
三浦: いろんなことできますよ。
Sean: なんかあの、ごめん、自分の話になっちゃって申し訳ないですけど、考えてからやるっていうより、やりながら考えるって、そっちのほうが私も……
三浦: そっちの方がいいと思います。
Sean: いろいろ見えてくるし、すごく素敵なことだなって。
三浦: もちろんね、なんかいろいろちょっとやってすぐやめて、ちょっとやってすぐやめてっていうのを、ものすごいたくさんやるのはちょっとあれだけど、本気で何かを3年とか5年とかしっかりやって。だから研究に興味があったら、こんな偉そうなこと言ってあれじゃなくて、私も修士の頃とか、もう実験下手すぎていつやめようかっていうぐらい、下手くそだったんですよ。
Sean: ふふふふ。
三浦: 全然もう、RNAとったら壊れるし、プラスミドは抽出したらないし、みたいな感じで、まあとにかく実験が下手だったんですよね。で、結構悩んで、当時のボスの山中伸弥先生のところに、もうあまりに実験が下手すぎて、就職した方がいいでしょうかって聞きに行ったことがあってですね。悩んで。
こんなにできない人は、もう、ちょっとやっぱり就職しようかなって。もう向いてないんじゃないかと思って聞きに行ったことあるんですけど。
そこで山中先生に言われたのが、「三浦さんは実験下手や下手や言うてるけど、実験は好きか?」って言われて。「もう実験はめちゃくちゃ大好きです。全然うまくいってないですけど」って言ったら、「実験が大好きだったら、気合い入れてやったら大丈夫なので、石の上にも3年は全力でやれ」って言われたんですよね。修士の時に。
石の上に3年やってもって、博士行かなあかんやん!ってちょっと思ったんですけど、そこは何も言わず。
(お互い笑う)
三浦: あ、わかりましたって、で博士課程に行ったんですけど、3年やればそれなりにうまくなって。一生懸命やればですね。
Sean: すごいね。
三浦: そうすると、やっぱその先のいろんなことも見えてきて。やっぱりある程度時間を、全力をかけてものになるかどうかを見極めるっていうのは、結構大事かなと思います。でも、それをたくさん踏めばいいだけで、多分、例えば15年あれば3年を5回踏めるので、5回もやれば多分自分に向いてる何かは絶対見つかるんじゃないかなって思いますし。そのうちの1つとして、研究を考えている若者がいるならば、ぜひぜひ、修士課程博士課程に進学したら、きっと楽しい研究ライフが開けるんじゃないかと。
Sean: 素晴らしい。
三浦: おすすめです。
Sean: ありがとうございます。あの、すごい今日は結構面白い、会話として、いろんなところに……
三浦: ちょっと、でもなんかあの、脱線しまくりで申し訳ないです。
Sean: いや、でもなんか本当に面白くて。で、最後の言葉ですごい感動しましたので、今日はこんなに時間をくれて、いろいろ教えていただくことに、感謝してます。ありがとうございます。
三浦: ありがとうございます。
Stellar Lab Radio、まだ誰も知らない世界を変える研究について。
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