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Together and Beyond

~異分野の研究者と企業人たちが集い、共創の中からアイデアを生み出した「THE SS-F GALA2023」~

2023年9月14日(木)東京アメリカンクラブにて、様々な分野の研究者とサポーター企業を一堂に介したイベント「THE SS-F GALA 2023」を開催いたしました。

当イベントでは、ライフサイエンス(生命科学)、マテリアルサイエンス(素材科学)、コンピュータサイエンスの3分野から日本を代表する若手研究者が集まり、「Together and Beyond(共に、そしてその先へ)」をテーマにした交流が行われ、社会の課題解決に向けたアイデアが提案される場となりました。

■ステラ・サイエンス・ファウンデーション(SS-F)の取り組み

分野を越えた交流から生まれるインベンション(発見・発明)を促すことで、イノベーション(社会変革)へとつながるムーブメントを起こす――SS-Fは、そんな仕組みづくりに取り組んでいる日本発の団体です。この仕組みを実現するために、SS-Fでは、サイエンスとサイエンスの交わりはもとより、サイエンスとビジネス、サイエンスとアートなど、さまざまな分野を越えた共創を通じて、新しい発明の種を生み出す機会の創出を行っています。

■異分野交流が生み出す新たな可能性

近年、研究の世界において、日本の国際競争力低下が懸念されています。その大きな要因として考えられるのが、分野の異なる研究者たちによる共創の不足です。SS-Fでは、研究領域や所属する組織の枠にとらわれずに研究者たちが自由に交流し、その場で自然に沸き起こる分野を超えた対話が、連鎖的なアイデア創出を引き起こすと考えています。そこで、当イベントでは、異分野交流が生み出す新たな可能性を感じていただけるような、さまざまな仕掛けを施しました。

最初の仕掛けとなるアイスブレイクの時間では、「STELLAR POWER CARDS」と題した自己紹介カードを通して、参加者同士の交流を深めました。まずイベント前に、参加者の強みや特技を事前にヒアリングした上で、その特徴を表したオリジナルのスーパーヒーローカードを制作。イベント当日は、このカードを交換し合うことで、参加者が楽しみながら、お互いの強みを知ることができる工夫を行いました。

このアイスブレイクは、「業種や分野が違っていても、ひとりひとりの強みを掛け合わせれば、一緒に新しいことを創造することができる」というSS-Fの想いが込められています。

こちらが「STELLAR POWER CARDS」。それぞれの強みを体現したスーパーヒーローのイラストで、参加者同士の会話が自然と盛り上がりました。参加した研究者からは、「研究室に持ち帰ると、ラボメンバーから“すごい!”、“よく考えられてる”などと驚かれました」とのコメントも。

■研究者たちの自由な交流から生まれたアイデア 

そして、メインの企画「STELLAR FUTURE VISIONING」では、研究者やサポーター企業など、さまざまな分野を越えたメンバー構成でグループディスカッションを行いました。

まず、それぞれのチームごとに、City(持続可能な都市化)、Nature(生物多様性の保全)、Health(発展途上国における健康)の3つのテーマの中からひとつを選び、メンバー各自が課題解決のアイデアをポストイットに書き出していきました。ひとしきりアイデアが出ると、貼り出されたポストイットを見ながら、グループでディスカッション。そうしてディスカッションの中で出てきたキーワードをChatGPTに入力すると、それらの情報を元に画像生成AI(Midjourney)が独自のイメージ画を創出。最終的に、チームでまとめたアイデアが、生成AIのビジュアルを伴った具体的な解決策としてまとめられました。

研究者からビジネスパーソンまで、分野を超えたメンバーで活発にアイデアを出し合いました。

画像生成AIを使ったプレゼンテーション例

City(持続可能な都市化)については、月にソーラーパネルを置いてエネルギーを生成し地球に送る、Nature(生物多様性の保全)については、絶滅危惧種のDNAを地球以外の星に送り込む、Health(発展途上国における健康)については、診断から生体検査などをリモートで行いAIで診断するなど、短い時間の中で様々なアイデアが飛び出しました。

このメイン企画の講評で強調されたのが「Thinking Outside the Box(既成概念にとらわれない考え方をすること)」の重要性です。この企画のプレゼンテーションでは、生成AIによって生み出された独創的なアート表現が添えられていました。いずれも、それぞれのグループがディスカッションの中で生み出した新しい世界観です。

一方で、生成AIから生み出されるコンテンツは、いわば人間がこれまでインターネット上にアップしてきた文章や画像から紡ぎ出されたものに過ぎず、これからの人間に何より求められるのは、そのAIが蓄積してきた過去のデータ(=Box)を超えて、「個」と「個」の協業によって新しい世界をクリエイトすること。今回のグループディスカッションを通じて、そのようなメッセージを伝えていきました。

■参加者の声

・アカデミアの人たちと知り合い、つながりを作る意味で、価値あるイベントだった。
・各分野で活躍している研究者と面識を持てて、交流できる機会は貴重。会場の雰囲気設定からコンテンツなどにも、会話が弾むような工夫が凝らされていると思った。
・自分とは異なる問題の捉え方に気づけたのが成果となった。同じ問題についても、持っている知見が異なると、違った見方ができる。その意味でも、異なる領域の研究者との交流が大切だと思った。

当日のGALAの様子